沖縄蝶類幼生期図鑑・タイワンキマダラ

 このコーナーでは本種の幼生期を紹介しています。野外で観察した生態写真が中心ですが、種を確認するためや変異を見るために一部飼育羽化写真もあります。写真は特記がない限り、新田智撮影です。
ウラベニヒョウモン幼虫と比べてみよう!

食草》
 イイギリ、シダレヤナギ、トゲイヌツゲ。

《産卵》
 イイギリで産卵を撮影。
 
産卵(イイギリ)西表島 2008年12月20日 同左卵(イイギリ)西表島 2008年12月20日 産卵(イイギリ)西表島 2008年12月20日(新田敦子)  
《幼虫》
 幼虫はトゲイヌツゲ、ヤナギ類(シダレヤナギ?)、イイギリで確認、撮影。
「ありんくりん通信29号」を作成するためヤナギ類を摂食する幼虫の写真を精査しました。2013年10月、同じ場所でウラベニヒョウモンが発生していたため、若齢はウラベニヒョウモンだと分かりました。ウラベニヒョウモンの方が、頭部が黒いというのが特徴のようです。なお、2003年10月の終齢?(ヤナギ類)は振動で脅かしたためか糸を吐いてぶら下がった幼虫です。原色日本蝶類生態図鑑(2)のウラベニヒョウモンの解説には幼虫を驚かすと糸を吐いてぶら下がるという記述があるので、本種もぶら下がる可能性が高い?のかもしれません。
2009年12月、脱皮直後の終齢(トゲイヌツゲ)連続追跡写真は刺が白く透き通っているが、だんだんと黒くなっていく様子を撮影できた。3日後、大きくなっていた。
 
若齢(ヤナギ類)西表島 2003年10月24日 若齢(イイギリ若葉裏)西表島 2009年12月27日 中齢(トゲイヌツゲ)西表島 2010年6月27日  
4齢?(背面、トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月28日 同左4齢?(側面、トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月28日 終齢?(ヤナギ類)西表島 2003年10月25日* 同左終齢?、糸を吐いてぶら下がる(ヤナギ類)西表島 2003年10月25日*
脱皮直後終齢(トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月28日13時12分 同左連続終齢(向きを変える、トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月28日14時24分 同左連続終齢(脱皮殻を食べる、トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月28日15時15分 同左追跡終齢(トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月31日
終齢(トゲイヌツゲ)西表島 2002年12月15日 終齢(摂食中、トゲイヌツゲ)西表島 2010年1月3日 同左終齢頭部(トゲイヌツゲ)西表島 2010年1月3日 終齢(トゲイヌツゲ)西表島 2010年1月3日(新田敦子)
《蛹》
 蛹は主にトゲイヌツゲで発生したものが中心ではあるが、2003年はヤナギ類(シダレヤナギ?)での羽化殻を撮影している。なお、蛹はウラベニヒョウモンとは大きな違いがあるので同定しやすい(タイワンキマダラでは、蛹の突起は特徴的な糸状が伸びている。ウラベニヒョウモンでは糸状に伸びない)。トゲイヌツゲで発生している個体は、同植物の葉裏で蛹化する事が多いのですが、ヤナギ類で発生の個体は,食草から離れて蛹化するのではないかと思いました。これは、同じ食草(ヤナギ類)でウラベニヒョウモンが発生していた事も関係しているのかもしれません。
2009年12月〜2010年1月の蛹は追跡撮影で2010年1月3日10時過ぎには羽化していた。
蛹(トゲイヌツゲ)西表島 2002年12月2日 蛹(トゲイヌツゲ)西表島 2005年12月1日 蛹殻(ヤナギ類)西表島 2003年10月25日 蛹殻(トゲイヌツゲ)西表島 2009年12月31日
蛹・背面(トゲイヌツゲ葉裏)西表島 2009年12月28日 同左蛹・側面(トゲイヌツゲ葉裏)西表島 2009年12月28日 同左蛹・側面羽化間近(トゲイヌツゲ葉裏)西表島 2010年1月2日15時45分 同左蛹・背面羽化間近(トゲイヌツゲ葉裏)西表島 2010年1月2日15時48分