●沖縄蝶類幼生期図鑑・ホリイコシジミ● 2013年9月21日に近所(沖縄県うるま市川田)のヤナギバルイラソウで発生しているホリイコシジミを観察しました。産卵から幼虫、蛹などの写真を撮りためましたので、随時アップしていきます。以下の写真は特記がない限り、撮影者は新田智撮影、2013年は省略。 |
《産卵〜卵》 今回の発生で、ヤナギバルイラソウ、ケブカルイラソウ、コバノランタナで産卵→卵を観察している。ヤナギバルイラソウは蕾やガクなどに産卵するのを多く観察。ケブカルイラソウは葉上に産卵するのを数例観察した。ランタナでは花の蕾が密集していて腹端を奥まで突き刺すようにして産卵するため、卵の撮影にはなかなか至らない。 |
▲ケブカルイラソウ うるま市川田(自宅) | ▲産卵 うるま市川田(ケブカルイラソウ)9月29日 | ▲同左卵 | ▲産卵 うるま市川田(コバノランタナ10月19日 |
▲ヤナギバルイラソウ 本部町 | ▲産卵 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)10月16日 | ▲同左卵 | ▲産卵 瀬底島(ヤナギバルイラソウ)10月1日 |
《幼虫》 今回、発見当初はヤナギバルイラソウで発生する個体群が中心だったが、津堅島に渡島した10月21日ではコバノランタナで大発生しているのを確認できた。ヤナギバルイラソウの幼虫は蕾、花芽や果莢に潜るようにして穿喰いしていた。ランタナ喰いは、花房に潜り込んでいて、撮影が難しい。ヤナギバルイラソウもコバノランタナも糞が出ているので幼虫探しの目安となる。中齢は淡い褐色を帯びているが、終齢になると体色は緑で褐色の背線はよく目立つようになる。晩秋になるとヤナギバルイラソウは花芽を持たなくなるが、果実も大変よく好んで食べ、養分が多いのか大型になる傾向もあるようである。初冬でもケブカルイラソウの蕾がある。自宅のケブカルイラソウに付いている幼虫を12月12日に発見できた。 |
▲中齢 名護市名護城公園(ヤナギバルイラソウ)10月1日 | ▲中齢 本部町伊豆味(ヤナギバルイラソウ)9月30日 | ▲中齢 大宜味村饒波(ヤナギバルイラソウ)10月14日 | ▲中齢 金武町並里(ヤナギバルイラソウ)10月2日 |
▲終齢 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)9月21日 | ▲終齢 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)9月21日 | ▲終齢 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)9月21日 | ▲中齢(左)と終齢(右)名護市名護城公園(ヤナギバルイラソウ)10月1日 |
▲終齢 屋我地島(ヤナギバルイラソウ)9月30日 | ▲終齢 本部町伊豆味(ヤナギバルイラソウ)9月30日 | ▲終齢 金武町並里(ヤナギバルイラソウ)10月2日 | ▲終齢 津堅島(ヤナギバルイラソウ)10月21日.新田敦子 |
▲中齢 津堅島(コバノランタナ)10月21日 | ▲中齢 津堅島(コバノランタナ)10月21日 | ▲中齢 津堅島(コバノランタナ)10月21日 | ▲終齢 津堅島(コバノランタナ)10月21日 |
▲ケブカルイラソウに糞・食痕らしきものを発見。この食痕にはいませんでした うるま市川田 12月12日 | ▲ケブカルイラソウに糞・食痕らしきものを発見。注意深くピンセットで開けると・・・ うるま市川田 12月12日 | ▲終齢 うるま市川田(ケブカルイラソウ、同左)12月12日 | ▲終齢 うるま市川田(ケブカルイラソウ、同左)12月12日 |
《蛹〜羽化その1》 ヤナギバルイラソウによる蛹は、葉上に頭部を葉先に向けて蛹化している事例が多かった。蛹を良く観察すると、蛹のまわりに無数の吐糸のようなものが確認された個体があった。追跡3は、前蛹から観察できたが、蛹化日が10/7→羽化が10/11と蛹期間が4日ととても短いのには驚いた。これは、気温の高さにも関係するかもしれない。蛹の変化は蛹化直後から緑色で長い毛が無数に出ている。羽化前日はまず、翅の部分が白っぽくなり目玉が赤く色づき、その日の夕方には体色もオレンジ色になる。羽化が近づくと翅の色が見え、体は金色になる。羽化の瞬間は早く、翅の伸びるスピードも9月10月の観察では早かった。11月以降、気温が下がってからの観察もチャレンジしてみたい。 |
▲追跡1 蛹 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)9月22日 | ▲追跡1 蛹(目が赤く翅が白くなる)うるま市川田 9月26日7時14分 | ▲追跡1 蛹(羽化間近)うるま市川田 9月27日7時54分 | ▲追跡1 ♂羽化 うるま市川田 9月27日8時24分 |
▲追跡2 蛹 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)10月6日 | ▲追跡2 蛹(目が赤く翅が白くなる)うるま市川田 10月9日14時21分 | ▲追跡2 蛹(羽化間近)うるま市川田 10月10日7時40分 | ▲追跡2 ♀羽化 うるま市川田 10月10日8時56分 |
▲追跡3 前蛹 うるま市川田(ヤナギバルイラソウ)10月6日 | ▲追跡3 蛹 うるま市川田 10月7日 | ▲追跡3 蛹(体が赤くくなる)うるま市川田 10月10日19時16分 | ▲追跡3 蛹(羽化間近)うるま市川田 10月11日7時44分 |
▲追跡3 ♂羽化 うるま市川田 10月11日8時35分 | ▲追跡3 ♂羽化 うるま市川田 10月11日8時36分 | ▲追跡3 ♂羽化 うるま市川田 10月11日8時36分 | ▲追跡3 ♂羽化 うるま市川田 10月11日8時50分 |
《蛹〜羽化その2》 11月に入って観察できる個体数は減って来た。また、追跡していても、蛹化場所が見つからなかったり、蛹まで見届けても蛹自体の個体数が目減りして行った。この目減りは、鳥などの天敵が学習したからではないかと想像する。追跡4は、11月27日になりたてと思われるような透き通った綺麗な緑の蛹であった。12月6日には目の色が赤くなった。翌日の7日には翅の部分が白くなった。羽化が近づくと翅表の色がクッキリと見えて来る。その後、薄皮を張ったようにくすんでくる。その後に羽化が始まる。晩秋の羽化はお昼頃になるようだ。11月27日が蛹化直後だとしたら、蛹期間は11日と、追跡蛹3と比べるとずいぶんと長い事が分かる。 |
▲追跡4 蛹 うるま市川田 11月27日 | ▲追跡4 蛹 うるま市川田 12月6日9時24分 | ▲追跡4 蛹 うるま市川田 12月7日8時54分 |
▲追跡4 蛹 うるま市川田 12月8日8時19分 | ▲追跡4 蛹 うるま市川田 12月8日11時8分 | ▲追跡4 ♂羽化 うるま市川田 12月8日12時2分 |