沖縄蝶類幼生期図鑑・ナガサキアゲハ

 このコーナーでは本種の幼生期を紹介しています。野外で観察した生態写真が中心ですが、種を確認するためや変異を見るために一部飼育羽化写真もあります。写真は特記がない限り、新田智撮影です。
《食草》
 イヌザンショウ(仁平、2004)、ウンシュウミカンオートーコブミカンザホン(仁平、2004)、サルカケミカンタンカンテリバザンショウナツミカンヒラミレモン(シィクワシャー)レモン

《産卵〜卵》
 ヒラミレモンでの産卵を確認、撮影。
   
産卵(ヒラミレモン)大宜味村 2006年3月11日 同左卵(ヒラミレモン)大宜味村 2006年3月11日    
《幼虫》
 若齢〜中齢まではヌルっとしたつやのある緑色をしている。終齢になると背中の帯が中央で切れたように見える。この帯の入り方で他のアゲハ類との区別される。終齢になると寄生ハチなどがよく付く事がある。
4齢幼虫(寄生ハチ?が付いている、ヒラミレモン)名護市 2006年9月23日 中齢(ヒラミレモン)恩納村 2012年05月01日(新田敦子) 4齢入眠(ヒラミレモン)うるま市 2007年6月24日 終齢(同左追跡、寄生ハチ?が付いている、ヒラミレモン)うるま市 2007年6月26日
     
終齢(ヒラミレモン)恩納村 2012年05月01日(新田敦子)      
《有尾♀から採卵飼育。幼虫》
 2006年7月22日にナガサキアゲハ有尾♀を採集した(蝶研フィールド243報告)。その♀からヒラミレモンの苗木を用いて採卵を行った。孵化した5卵をヒラミレモンで飼育追跡したが、終齢までには至らず、羽化させる事はできなかった。各5個体を写真で紹介する。
【追跡1】追跡3と同様、西日の当たる頃、頭部を持ち上げる仕草を見せた。3齢までは順調に育ったが、8/3には亡くなった。
【追跡2】孵化の瞬間から撮影できた。孵化殻は食べた。食草が気に入らないのか食は細く、2齢で食草から離れ徘徊をはじめ、そのまま8/2に亡くなった。
【追跡3】他の個体でも見られたが、西日の当たる頃、写真のように頭部を持ち上げる仕草を見せた。4齢までは順調に育ったが、8/8には亡くなった。
【追跡4】4齢までは順調そうではあったが、8/7に4齢入眠に入って、いよいよ終齢への脱皮が始まったが、上手に脱皮できずにそのまま亡くなった。
【追跡5】孵化後、7/31に2齢になったものの幼虫の体色は不健康そうで、大きくなることもなく8/3には薄茶色の液を口から吐き、薄茶色の排泄をして亡くなった。
有尾♀(アフリカホウセンカで吸蜜)名護市 2006年7月22日 採卵用に使ったヒラミレモン 2006年7月24日 卵(採卵)名護市産 2006年7月24日 卵(孵化が近い)名護市産 2006年7月28日
追跡1;孵化 名護市産 2006年7月27日 追跡1;1齢(同左)名護市産 2006年7月28日 追跡1;2齢(同左)名護市産 2006年7月31日 追跡1;3齢(同左)名護市産 2006年8月3日。翌日死んでしまった。
追跡2;孵化 名護市産 2006年7月27日 追跡2;1齢(同左)名護市産 2006年7月28日 追跡2;2齢(同左)名護市産 2006年8月1日大きくなれずに徘徊をする。 追跡2;2齢(同左)名護市産 2006年8月2日。乾涸びて死んでしまった。
追跡3;2齢 名護市産 2006年7月31日 追跡3;3齢(同左)名護市産 2006年8月2日 追跡3;4齢(同左)名護市産 2006年8月5日 追跡3;4齢(同左、徘徊をするようになる)名護市産 2006年8月7日。翌日死んでしまった。
追跡4;3齢(脱皮したて)名護市産 2006年8月1日 追跡4;4齢(同左)名護市産 2006年8月5日 追跡4;4齢入眠(同左)名護市産 2006年8月7日 追跡4;4眠起失敗(同左)名護市産 2006年8月8日。夜に死んでしまった。
   
追跡5;2齢(脱皮後間もない?)名護市産 2006年7月31日 追跡5;2齢(同左)名護市産 2006年8月2日。翌日うす茶色の液を吐き、同色の排泄をして死んでしまった。    
《蛹》
 食草に蛹化したり、食草の近くにある植物で蛹が見つかる。♂は♀探し行動をとるが、蛹化場所が込み合った場所ではなく、空間のなる林縁などにあることから、羽化した♀が見つかりやすい場所にあるのかもしれない。
蛹 渡嘉敷島 2007年5月20日 前蛹(ヘゴノキ)うるま市 2007年6月23日 蛹(同左追跡、ヘゴノキ)うるま市 2007年6月24日 蛹(同左追跡、ヘゴノキ)うるま市 2007年6月30日